コロナ感染を疑われて10日間自宅療養の上PCR検査を2回させられた話《前編》
こんにちは。Ashです。
緊急事態宣言も解除されてしばらく、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私は一人暮らしの部屋を引き払い、念願のパートナーとの同居を果たして早々に、
コロナ感染を疑われて10日間自宅療養を余儀なくされた上、なかなか受けられないと噂のPCR検査を二回も受けさせられるという貴重な経験をしました。
結果として陽性反応は出なかったので、そんなに盛り上がるポイントもない、ただの地味な療養日記です。
一方、どのようにしてPCR検査に至ったのか、なぜ「これ普通の風邪と違うぞ!!」と判断するに至ったのか、
体調に不安を抱えている人やそのご家族の方にちょびっとでも参考になったら良いな〜と思ったため、体調を崩した日からの体験談をここに記しておこうと思います。
9月8日:発熱
その日はごくいつも通りに朝起き、出勤していました。
強いて言えばめちゃくそに眠かったのですが、それはおそらく前日夜にDr. Stoneの最新刊を2時間くらいかけて噛みしめるように読み、公式からの推しカプ供給過多に大興奮していたせいだと思っていました。
帰宅後も普通に夕飯を作り洗濯物をしてツイッターを更新。
ハーァ疲れたな暑いなだるいなと布団に転がったあたりで、不意に私に触れた相方が一言。
「なんか熱くね??」
は?? いつものことでは???(平熱バリ高)
いやでもまあこのご時世なので、と念のために検温したところ、
37度9分
「……さすがに平熱ではないな!!!!!!」
まったく無自覚だったので軽く思考停止しつつも、急遽自室隔離の上就寝。
なんだか嫌だな〜不安だな〜〜と思いつつ、この時はまだまあ疲れが出たんやろくらいに考えていました。
9月9日〜10日:自宅療養と違和感
翌日9日は仕事を休み、一日オフトゥンでごろんごろん。熱は37度台をうろうろ。
だるさはあれど動けないほどでもなく、走りきれていなかったソシャゲのイベントを完走し、苦手なリズミックと格闘するなどしていました。
また、味覚嗅覚にも異常はなく、食欲は旺盛で相方の作ってくれる食事は残さず平らげていました。ごはんおいしい!!
一方で、なんとなくいつもの風邪とは違うところがあるな……という違和感を覚えていました。
- 呼吸がいつもよりずっと浅くしかできない気がする。肺の容量が急に半分になってしまったような感覚。
- 鼻呼吸は普通なのに、口呼吸しようとすると途端に喉がザラザラして、咽せるように咳が出る。
- 胸に何かがずっと乗っかっているような、石が一個詰まっているような苦しさがある。
- いつもの風邪なら喉が痛んで黄色っぽい鼻水や痰が出るパターンが多いのに、それが一切ない。
特に呼吸のしづらさが気になっていましたが、精神的に負荷がかかった時に胸がぎゅっと息苦しくなる感覚にも似ていたので、おそらく昨今の疲れやコロナに対する不安からくる精神的なものだろう……と思っていました。
10日朝にも熱が37度台あったため大事をとって仕事は引き続き休みましたが、午後には平熱に。
そのため、きっと歳のせいだろうと考えました。
ワーーーーーッッと熱が出て翌日にはけろりと平熱に戻っているというパターンは若者の体調の崩し方なのだ……
一晩寝ただけじゃHPもステータス異常も回復しない……きっとこれがアラサーの体調の崩し方……
そんな風に考える程度には元気があり、翌日11日は職場に復帰しようと考えていました。
9月11日:一般相談窓口への相談、そして悪化
朝、熱は平熱に戻っており、出勤すべく顔を洗って歯を磨き着替えを用意しましたが、どうにも身体が重い。
息苦しさが改善している気がしない。
通勤途中で気分が悪くなったらどうしよう。職場には高齢の方や小さいお子さんがいる方もいる。万一があったら……そう思うと不安になりました。
でも、二日休んでいる間に怠け癖が出ただけかも。過度に不安になりすぎているかも。この程度の体調不良で大袈裟だと思われるかも……。
葛藤しましたが、万一コロナに感染していた時に、「体調の悪い自覚があったのに出歩いてウイルスを拡散した」と世間から袋叩きにされることが何よりも一番恐ろしいと思いました。
結局この日も仕事を休み、コロナの電話相談窓口を調べました。
そして、帰国者・濃厚接触者向けの相談窓口の他に、都道府県が設置しているコロナウイルスに関わる多様な相談事を受け付ける一般相談窓口があることを知りました。
受付開始の9時になると同時に、二つの窓口に交互に鬼電を開始。
しかし全然繋がらない。架電直後に話中の電子音がして電話が強制切断される。
やはり難しいのか……と思い始めた矢先、9時半ごろ、不意に一般相談窓口の方に電話がつながりました。
「ファッッ!!?(繋がると思っていなかった) あ、あのすいませ、あのあの」
はちゃめちゃどもりつつ三日前から風邪症状があることを伝えると、熱の推移や、咳や味覚嗅覚の異常があるか、持病や既往歴などを尋ねられました。
確か3月頃には味覚嗅覚の異常がコロナの症状なのかはまだ不確定な扱いだった気がするのが、今では立派にフラグのひとつになっているんだなあとぼんやり思いました。
相談窓口の返答は、
「今は平熱に戻っているということなので、一度一般の内科を受診するのが良いかと思います」
ですよね〜〜〜
さすがにこの程度ではいきなり検査とはいかない様子。
とはいえ、専門の窓口から「一般の内科を受診すべき」とのアドバイスが受けられたので、これで何も気にせず内科を当たることができます。
引っ越してきたばかりでまだ近所にかかりつけ医がないため、近隣の医療機関をググって徒歩圏内の内科を確認。
そして見つけたA内科に電話。初診の相談として、昨今の体調を伝えました。
「受診は可能ですが、うちではコロナの検査はできません」
「(まあそうですよね……)肺炎を起こしているかどうかの診断はできますか?」
「それもできません。そのご心配があるようでしたら、呼吸器内科のある病院を当たられた方が良いかと思います」
呼吸器内科。聞き慣れない言葉でした。
せっかく病院を受診しても肺の状態の診断ができずにただの風邪診療になるのでは、今はあまり病院を受診するメリットがないと考えたので、お礼を言って電話を切り、次は呼吸器内科でググります。
……が、近隣にそれらしいものがヒットしません。
代わりに循環器内科というのを見つけて、ちょっと違うかな……と思いつつ、今度はそのB病院に電話。
「うちではコロナの検査はできません」
「(どこもそう言うよね……)肺炎を起こしているかどうかの診断はどうでしょう……?」
「少々お待ちください(保留)……この近くですと、C総合病院に発熱外来があるので一度そちらに相談すると良いかもしれません。そちらが受診できないようでしたら、うちでも診察できますよ」
「!! ありがとうございます!!」
まだ近隣の土地勘がさっぱりない状態で、大変に有難い情報をいただけました。
コミュ障にはきついたらい回し電話ラリーですが、確実に核心に近づいている感があります。
調べると、隣駅くらいの距離にC総合病院がありました。今度こそという気持ちで電話をかけます。
「発熱外来ですね。体調はどのような感じですか? ……なるほど、では看護師にお繋ぎしますね」
受付と思われる方に直近の体調を確認されると、看護師の方に電話を繋げられました。
看護師さんと直接話をするとは思わなかったので驚きましたが、とても丁寧に体調や最近の行動、仕事の事などを確認してもらえました。
「味覚・嗅覚の異常はありますか?」
(やはりここでも確認されるんだなあ)
「直近で会食や旅行をされましたか?」
(GoToやってるのに旅行もフラグのひとつにしっかりなっているんだなあ……ちなみに飲み会も旅行もしてません)
「通勤はされていますか? 不特定多数の人と関わったり密な環境にいることはありますか?」
(や、やっとこれを聞いてもらえた……!!)
コロナに感染しているのではないかという不安の一番の背景は、毎日のはちゃめちゃな通勤ラッシュと、職場のフロアまで行き来するエレベーターの密具合、対策されているとは言え大人数がいる組織で働いていたことにあったので、この具体的な不安の根拠を初めて聞いてもらえたことで本当に安心しました。
そして、翌日土曜日の午前に発熱外来の予約をとることができました。
電話を切り、私が求めていたのは診療よりも誰かに話を聞いてもらうことだったのかもしれない……と思うくらいにはスッキリしていました。
我ながら大袈裟だったかな……と思いつつ、病院でなんともないことを確認してもらえたら今度こそ安心できるし良いだろう、と考えることにしました。
気分も落ち着いて身体も動かせそうだったので、少しKAITOの調整でも……とパソコンを立ち上げエディタに向かおうとした、その直後でした。
「ゴッ……ホ!!! げふ、ゴホゴフォゲホがはっっgクァwせdrftgyふじこlp;」
突然の爆発的な咳。
一度出たら止まらなくなり、苦しくて涙と涎が溢れて思わずトイレに駆け込みました。
トイレでも咳が止まらず、その弾みで軽く嘔吐。
ようやく咳が止まってもめちゃめちゃに息が苦しく、畳んだ布団の上に倒れ込むようになり、動けないままいろんなことを考えました。
(やばいやばいなにこれ絶対普通の風邪じゃない!!)
(これ、Dr. Stoneのサルファ剤完成直後に容体が急変したルリ姉の状態にめっちゃ似てない???)
(仕事休む判断した今朝の自分、全然大袈裟じゃなかった!! 超GJ!!!)
(もしかして志村けんも意識失う前、こんくらい苦しかったのかな……嫌だなつらいな……)
そのままぐったりしているうちに相方が帰宅。
「なんか今朝より悪くなってない??」と困惑する相方に、「志村けんが頭を過ぎった……」と答えてめちゃめちゃ心配されました。
その後いったんは呼吸や咳が落ち着いて夕飯は食べられたのですが、夜にかけて熱が38度3分まで上昇。
この妙な症状の波状攻撃にこれはいよいよあかんかもしれんと覚悟をし、最悪の事態を想定して着替えをトートバッグにまとめるなどしました。
9月12日:受診、CT、PCR検査へ
翌朝、息苦しさとだるさは少し残るものの、幸いにして熱は平熱に戻っていました。
病院は徒歩で行くには遠く、公共交通機関を使わずにタクシーで来るように言われたため、不安を覚えながらもタクシーを手配。
……しようとしたら車が出払っていると言われ配車できず。
近隣のタクシー会社もよく把握しておらず、まだ頭も回りきっていなかったため、慌てて歩いて駅前へ。
外を歩いている間、人とすれ違うのが恐ろしくて、呼吸を最小限にとどめ、周囲のものに絶対に触れないように注意していました。
大罪を犯している気持ちになりながら駅前でタクシーに乗り込み、車内では除菌シートでずっと手指とスマホを拭きまくっていました。
距離感がいまいちよくわからずに、予約の30分以上前に病院に到着。
発熱外来は、病院の受付には行かずに一度外から電話をかけるように言われていたため、電話をかけます。
「30分以上早く着いてしまったんですが……外のベンチに座って待っていても良いですか?」
「そこから柱の方に椅子が見えませんか? ベンチではなく、そちらに座ってお待ちください」
「…………あの一脚だけあるパイプ椅子ですか??」
病院の玄関や売店から離れた暗がりの中、建物の柱の下にパイプ椅子がひとつだけポツンと置かれていました。インフルなど比べ物にならない徹底した隔離です。
間もなく看護師さんが迎えに来られ、病院の裏に回り勝手口のようなドアから通されました。
土足のまま上がったドアの向こうはすぐ診察室で、いかにも臨時的に設置された感のあるお部屋です。
お医者様に、あらためて直近の症状や生活・行動を確認され、淡々と診察を受けました。
- 聴診器(胸・背中)
- 血圧・脈拍(両腕それぞれ)
- 喉確認
- 血中の酸素濃度(人差し指にクリップみたいのを挟む。全然痛くない)
背中に聴診器を当てて「イーーーーーって言ってみろ」みたいなのをするかと思ったらそれはなかったです。
脈拍が104と出ていて、(♩=104……速くね!?)と思いましたが特にツッコミなし。
そのほか、腹痛や下痢などの消化器症状の有無や、他に飲んでいる薬(全然別件で抗生物質を処方されていてそれを飲んでた)を念入りに確認されました。
そしてお医者様からのお言葉。
「熱も平熱、咳も止まらないほどじゃない、血中の酸素濃度も普通、喉が少し赤い程度なのでそこまで心配することはないと思います。
CTを撮ることもできますが、他の患者さんの予約が入っている可能性があるので、場合によってはお待ちいただくことになります。
PCR検査もできますが……土曜日なので、検査機関に検体を出して結果が出るまで月曜〜水曜日くらいまでかかります。どうされますか?」
アア〜〜〜大袈裟なヤツだと思われているな〜〜;;;
と気まずさを覚えながらも、どうしても肺炎の不安が消えませんでした。
「可能ならCTが撮りたいです」と伝えると、やはり淡々と奥の部屋の看護師さんにCTの状況を確認してくださいました。
そして、幸運にも少しの待ち時間で撮影可能とのこと。
衣服に金具などがあるとCTが撮れないため、上半身のみ下着まで脱いで検査着一枚になります。
10分ほど待機していると、院内側ではなく外の勝手口の方から看護師さんに呼ばれました。
そのまま一度外に出て、また別の勝手口のようなドアから屋内へ。
完全防備の看護師さん達に案内され、床をシートで覆われた院内の廊下を土足で歩き、そのまま検査室へ入りました。
自分からCTを撮りたいと言っておきながら、実はCTが初めてでどんなものかよくわかっておらず、宇宙船のような機械が出てきてめちゃくそにビビりました。(私が想像していたのは胸部レントゲンでした)
CTの機械の寝台部分も全体シートで覆われており、この検査中、
(これ患者さんごとに毎回シートを替えているんだな、一人の検査のために何人もの看護師さんの労力と時間がかかって……なんて大変なことをお願いしてしまったんだ……)
とものすごく申し訳ない気持ちになりました。
検査を終えて診察室に戻り着替えながら、
(これで何も問題なかったらますます大袈裟なヤツだなオーラを出されるだろうな……PCR検査どうしよう……)
と悩んでいると、突然ガラガラッとドアが開き、
「ウォア!! すみません!!!」
着替え終わったギリギリのタイミングでめちゃめちゃ食い気味にお医者様が入室してきました。
お医者様はデスクにつくなり、「もうCT画像届いていると思いまs……あれまだ来てない……あっキタ!!」とせわしなくパソコンを操作し始めました。
「CTに肺炎の影が出ています。
……この、肺の外側あたりに、毬藻みたいな丸い白い影がぽつぽつ浮かんでいるこれ。これがいかにもコロナっぽいんですよ……」
い か に も コ ロ ナ っ ぽ い \(^o^)/
もう、お医者様のテンションがさっきと全然違います。
「ただ、これだけではまだなんとも言えないです。肺炎を起こす要因はコロナ以外にもたくさんあるので……
PCR、早ければ月曜日……火曜日には結果出ると思います。唾液を採取する検査なので痛くも苦しくもないです。
検査を受けることをおすすめします……」
「お願いします!!!!!!!!!!!!!!!!!」
お医者様が奥の部屋の看護師さんに「PCR検査!」と指示すると、間もなく外の勝手口のドアから再度看護師さんに呼ばれて外に出されました。
そして、外にまたもポツンと置かれている別のパイプ椅子に案内され、口の広い試験管のような物を手渡されました。
「私が立ち去ったらマスクを外してこれに唾液を入れてください。
1の目盛まで……唾液が泡立ってしまったら2の目盛くらいまで採っていただければ大丈夫です」
アラサー女が外で一人きり椅子に座って管に唾液を吐いている様子、相当シュールでは??
と他人事のように思いながら、前日相方が作ってくれたたたき梅と大根おろしの乗ったおうどんを思い出して唾液を3回くらいに分けて吐きました。
椅子は軒下のような場所に置かれていたのですが、この時風と小雨が出始めてめっちゃ小雨にうたれてました。
管に雨が入ったら検査に障りがあるのではと思い、口に手をかざして待機していると、看護師さんが戻ってこられて、
「唾液出すの上手いですね!!! 全然出ない人結構いるんですよ〜!!」
謎なポイントで褒められ複雑な気持ちになりました。
その後は診察室で肺炎への対症療法として処方される薬の説明を受けると、またすぐに外へ。
小雨降る中、看護師さんにPCR検査についての説明が書かれた紙と、代金の振込先(窓口会計できないため後払い)の書かれた紙、処方箋を手渡されて、診察は終了しました。
エッ……PCR受けたばっかの人間をこんな風に娑婆に放り出すの??
と、土地勘の無さも相まって正直途方に暮れました。
でも、まさか病院が一人一人車で送っていくこともできないので確かにこれは致し方ない……。
タクシーで病院まで来る途中、近くに薬局が見えていたので歩いてそこへ。
もう人に近くのが本当に恐ろしくて、一番入り口に近い端っこの席で待ち、処方を受けました。薬剤師さんからも「発熱と咳の薬ですね〜」としか言われませんでした。
このご時世、こんな風にコロナの疑いが強い人間が致し方なく普通に外を出歩いているんだ……と新たな世の真理を得たような気持ちになりながら、タクシーを手配し帰宅しました。
帰りのタクシーの運転手さんがやたら会話をしてこようとするので気が気でなかったです。
世のドライバーさん、どうか病院帰りの人間とは会話を最低限に留めてください。お願いします。