立ちのぼる煙の向こうに 君の背中が見えた気がした
背伸びをして買った煙草の箱は
クシャクシャになってポケットの中
甘い香り 僕は吸い込めずに
空に向かってふかしているよ
ひとりじゃ 深呼吸 うまくできないんだ
So far, So far away,
The smoke is rising up into the blue sky high
So far, So far away,
The smoke is rising up to the place where you had gone…
立ちこめる霧の向こうで 君の声が聞こえた気がした
「こんな日は悪戯日和だね」
と 笑いあったのはいつだったっけ
焼け焦げた白い花に問う
どうして君を救えなかったんだろう
苦い想い 僕は吐き出せずに 空を仰いで瞳閉じるよ
ひとりじゃ 溜息 こらえきれないんだ
So far, So far away,
The smoke is rising up into the blue sky high
So far, So far away,
The smoke is rising up to the place where you had gone…
The smoke is rising up to the heaven where you had gone…
魚の吐いた泡のようだ
君の震えるか細い声は
水槽の中 浮かんで 弾けて
淡く光る泡沫のようだ
ポンプが吐き散らすO2
花瓶に沈んだダリア
汚れた猫を抱き上げる子どもの手
血圧 脈拍 リズム刻んで
生命すべて シャーレの上さ
狭く淀んだ水槽の街の隅で
垂れ流された汚染水が彼女を病気にしたらしい
噂話の尾鰭 今日も空を泳いでく
毎食後のカプセルが君をいつかきっと楽にするよ
どれも全部 軽率な延命なんだ
魚の吐いた泡のようだ
君の震えるか細い声は
水槽の中 浮かんで 弾けて
淡く光る泡沫のようだ
耳も目も口も 全部塞いで
浄化装置 フル稼働
脆く強固な水槽の街の隅で
神様なんて元々から何処にも存在しないらしい
都合の良いマジョリティ それが奴の本当の正体だった!
君は疲れているようだ たまには早めに寝るといいよ
どれもすべて 惰性が原動力さ
魚の吐いた泡のようだ
人の営む儚い日々は
水槽の中 浮かんで 弾けて
後には何も残りはしないんだ
魚の吐いた泡のように
もうすぐ全部消えてしまうのに
夢を語る子どもみたいに
今夜は君と話がしたいんだ
魚の吐いた泡のようだ
君の震えるか細い声は
水槽の中 浮かんで 弾けて
淡く光って 消えていくんだ
けれど
今夜は君と話がしたいんだ
君とふたりで 話がしたいんだ
もしも私の五線譜に終わりがきたら
あなたの故郷で眠りにつきたい
命をめぐる神様のおとぎ話を
耳もとで聞かせて あなたの声で送り出して
灰になるのは すべて同じでしょう
(かたちあるもののさだめ)
つないだ手が離れても
流れ往く先は 誰も同じでしょう
小鳥に 魚に (空に 海に)
かえりつくその詩は
どんなに美しく響くのでしょう
私も あなたも (いつか きっと)
燃え尽きるその時は
あの日見た海へと旅立つのでしょう
波間を揺れる白い砂の一粒ずつは
かつて旅立った命たちのかけら
貝殻の歌うやわらかなわだつみの唄
耳もとで聞かせて それが最後の子守唄
終わりがくるのは すべて同じでしょう
(いのちあるもののさだめ)
獣も銃も花たちも
流れ往く先は みんな同じでしょう
小鳥に 魚に (空に 海に)
かえりつくその日まで
どれだけの愛を囁けるでしょう
私も あなたも (いつか きっと)
辿りつくその場所へ
この詩もいつかは羽ばたくのでしょう
小鳥に 魚に かえりつく物語は
どんなに果てしなく廻るのでしょう
私も あなたも (いつか きっと)
やがて往くその道は
あの日見た空へと続いてゆく
小鳥に 魚に (空に 海に)
かえりつくその詩は
どんなに美しく響くのでしょう
私も あなたも (いつか きっと)
燃え尽きるその時は
あの日見た青へとかえりつきたい
故郷の蛍を見れぬまま 今年も夏の足音
家路を急ぐ子らの声に 羨みを堪えきれず
河原にたなびく薄野に 燃える彼岸の花は
焼けつくように弾け咲いて 瞼の奥に煌く
父の平手を二度堪え 母の涙に目を背け
夢路ばかりに縋り歩めど
後ろ髪を ふと 引かれ
故郷に便りを出せぬまま 今年も百八の鐘
白地図のような文の上に 溜息ひとつが滲む
牡丹雪舞い散る里の田に 遊ぶは白鳥の影
北を恋うるような鳴き声が 今も耳から離れず
山のさざめきに別れを告げ 海の波しぶきに背を押され
遠く遠くまでひた走れど
後ろ髪を なお 引かれ
力無きこの細腕を恨み
背負わされた女のさだめを呪い
負けじと都の天を睨めば 僅かの星は水に溺れて
志は秋の空のように 思いは苔生す巌のように
くずおれることは許さざれど
郷をしのび今日もひとり歌う
父の平手を二度堪え 母の涙に目を背け
夢路ばかりに縋り歩めど
後ろ髪を ふと 引かれ
帰れざる身なれど郷しのび
後ろ髪を なお 引かれ
冷えた指にもてあますグラスにはオリーブ
ジンの切っ先が私の胸に火を灯す
くちびるにとける Sunrise and Sunset
(Grenadine and Orange)
一晩じゃ物足りない
裸足のまま ふたり Sex on the Beach
田舎娘みたいに恋をしたい
まわるミラーの幻惑に見え隠れする激情
そのひとくちを飲み干したら
今宵 Cocktail and Lovers’ Night
揺らぐ波のような酔いにライチの誘惑
そこに一匙の蒼を君の手で添えて
どうしても知りたい Secrets of Campari
(Soda or Beer ? Spumoni ?)
魅惑の Scarlet Lady
暗闇の中で気まぐれな Kissing
その続きはシーツにくるまって
まわるステアのリズムにかき乱される熱情
もうひとくちを飲み干したら
明日も Cocktail and Lovers’ Night
まわるミラーの幻惑に見え隠れする激情
そのひとくちを飲み干しても
夢うつつのダンスに終わりはない
まわるステアのリズムにかき乱される熱情
もうひとくちを飲み干したら
今宵 Cocktail and Lovers’ Night
明日も Cocktail and Lovers’ Night
君と Cocktail and Lovers’ Night
混乱の波をようやっと乗り越えりゃ 新しき香の西風が吹く
半髪頭を叩いて聞こゆるは 因循姑息の音ばかり
文明の花の蕾を突くのは 刀に非ずと御国は説く
古今東西この世のあらゆるを 兎も角も書物に学びます
祖国への愛をこの筆にこめて勉学に励みませう
この学び偏に道と成り 花開くその時まで
嗚呼 移れば変わる浮世かな 気取った横文字も御愛嬌
書生に車夫(くるまや)に娼妓(たわれめ)も すべてはハイカラの開化主義
この志決して見失わぬやうに 開けゆくこの都に満開の花を咲かせませう
銀座の街頭(とおり)をやをらそぞろ歩きゃ カラコロ鳴るのは日和下駄
散切り頭を叩いて聞こゆるは 行き交う辻馬車の喇叭(らっぱ)の音
勉励疲れて息抜きするのなら ちょいと寄席にでも行きませうか
牛鍋食わぬは開化不進奴(ひらけぬやつ)と言えど 氷菓子の食べすぎにゃ気をつけな
ひねもすひぐらし硯に向かひて勉学に励みませう
この思い偏に仁と成り 実を結ぶその時まで
嗚呼 栄枯盛衰の浮世かな 艶やか華やかに端手衣裳
花見に縁日に遊郭(くるわ)までも すべてはハイカラの開化主義
この志決して惑わされぬやうに 開けゆくこの時代に爛漫の花を咲かせませう
嗚呼 千姿万態の人生かな 敢え無く散りぬるもまたおかし
天文 地理 歴史 究理 修身 されども放蕩はほどほどに
嗚呼 移れば変わる浮世かな 気取った横文字もご愛嬌
書生に車夫に娼妓も すべてはハイカラの開化主義
この志決して見失わぬやうに 開けゆくこの都に満開の花を咲かせませう
爛漫の花を咲かせませう 文明の花を咲かせませう